Chapter:01
「presence of love -愛の存在-」
Rubyの元に一通の手紙が届いた。
それは懐かしい恋人からの手紙。
胸が張り裂けるような別れの記憶が頭をかすめ、
心がざわめく。
そこに書かれていたのは、
純粋に彼女の誕生日を祝う気持ちだった。
時が止まったまま、昔の自分が投影されたような
言葉たちに恥ずかしくなる。
あの頃は皮を剥いた果実のように甘く、
雑味のないときめきだけが宝物だった。
作り物の宝石は、時が経つにつれ輝きを失い、
必死に磨いて輝かせようとすればするほど朽ちていった。
未熟で、歪で、痛々しい時間。
さみしさが指先まで滲んでいた感覚を思い出して、
何かがおかしかったと気づいた。
衝動にまかせた子供じみた恋。
“今の彼が元気でいてくれてよかった”
手紙を受け取ったRubyは心からそう思った。
その瞬間、毎日会っていたあの時よりも
彼のことを上手に愛せていることに気がついた。
Chapter:2
「practice love (step1 self-reliance) ー 愛の練習 step1 自立ー」
ひとりきり まっくらな帰り道
静寂のなかをビル風が通り抜ける
街の中 急にはなされた野良猫みたい
居場所がなくて 心は頼りない
夜空を見上げると満月は堂々と輝いていた
しんとした空気も まるで気にせずに
「あなたを救えるのはあなただけ」
友達がくれた言葉が胸の中で反射した
誰かをちゃんと愛するために
自分の足でしっかりと歩んでいきたい
確かなことを鎖のように繋げていこう
バレエのレッスン、499番のルージュ、フロムの思想
そのひとつひとつがわたしの居場所